今回の壁崩壊のニュースは、金正恩総書記が自ら推進する復興住宅プロジェクトの信頼性に対する大きな疑問を投げかけています。やはり、観光地や政治的なプロパガンダの裏側には、現実の問題が隠れているのかもしれません。

北朝鮮で昨年12月22日に行われた水害被災地の復興住宅竣工式で、金正恩総書記が激怒する出来事があったという。

北朝鮮北東部・平安北道(ピョンアンブクト)は昨年7月、未曽有の水害により甚大な被害を受け、住民の多くは金正恩氏の「配慮」により、首都・平壌で避難生活を送っていた。また、金正恩氏は被災地を視察した際、住民たちを前に「都市に劣らぬ文化的かつ近代的な住宅地区を立派に打ち立てて大変革を遂げる」「これから自然が襲った廃虚の上に素晴らしい地上の楽園を打ち建てて幸せに暮らしてみよう」などと語っていた。

それだけに、復興住宅の建設は北朝鮮当局にとって絶対に失敗できない最優先課題となったわけだが、わずか5カ月の工期でやり遂げるのは無理があった。

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によれば、金正恩氏は建物の内部を見て回る際、幹部たちが内装や家具などを完璧に「お膳立て」したのとは別の棟に入って行ってしまい、壁の塗装すら済んでいないありさまを目撃。大声を上げて激怒したという。

こうした場合、かつてなら責任者が処刑されることも珍しくなかったが、今回どうなったかについては情報がない。

そもそも、ただでさえ経済がぜい弱なところに大災害まで重なった状況の下、短期間に住宅造成を終えろというのが無理なのだ。必然、現場では手抜き工事が横行し、様々なトラブルが発生する。

たとえば、朝鮮労働党中央委員会第8期第8回総会で示された人民経済(民生経済)発展の12の重要達成目標(朝鮮語では重要高地占領)のうちのひとつが、やはり農村住宅の建設なのだが、その現場でもみっともないアクシデントが起きた。

両江道(リャンガンド)の抱城里(ポソンリ)にあるファピョン協同農場での農村住宅の竣工式の直前、国営の朝鮮中央テレビや労働新聞の記者が見守る中で水道管が破裂し、家の壁が崩れるという大失態が演じられたのだ。

これらの根本的な原因は「速度戦」にある。計画よりより早く、より多く達成することを美徳とするもので、1974年の朝鮮労働党中央委員会第5期第8回総会で、社会主義労力競争の公式スローガンとして採択されたのが始まりだ。

ところが、スピードや量ばかりを重視して、質を無視する結果を招き、手抜き工事や大量の不良品を生み出すこととなったのである。





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テレビカメラの前で壁崩壊…金正恩「自慢の住宅」で続く惨事
…北朝鮮で昨年12月22日に行われた水害被災地の復興住宅竣工式で、金正恩総書記が激怒する出来事があったという。北朝鮮北東部・平安北道(ピョンアンブクト…
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さとる@臥薪嘗胆
@satorun_kunn_

テレビカメラの前で壁崩壊…金正恩「自慢の住宅」で続く惨事(高英起) #Yahooニュース news.yahoo.co.jp/expert/article…

(出典 @satorun_kunn_)

八重樫犬太
@yaegasi_kenta

テレビカメラの前で壁崩壊…金正恩「自慢の住宅」で続く惨事(高英起) news.yahoo.co.jp/expert/article… ハリボテに案内しちゃったか

(出典 @yaegasi_kenta)